”開業届”と呼ばれているものは、「個人事業の開業・廃業等届出書」のことです。
起業する際に出すものと理解している人も多いと思いますが、
実は届け出を出さないことによる罰則などはなく、出す、出さないは自由です。
しかし、出すことのメリットがあるため、多くの方が開業と同時に届け出を提出しています。
複雑な内容になるため、どうして必要なのか、そのメリットや詳しい内容について知らない方も多いのではないでしょうか?
今回は、これから開業する方、既に事業をしているのに開業届を出していない方に向けて、「個人事業の開業・廃業等届出書」のイロハを解説していきます。
◎開業届って何をする時に必要なの?
開業・廃業することを税務署に申告するための書類となります。
開業する時も、事業に失敗して廃業する時も、同じ書類を使用します。
個人事業主になると、利益に応じて”所得税”を課せられることになります。
事業が拡大した後は、”個人事業税”と呼ばれるものもかかってきます。
難しい内容にはなりますが、今は確定申告もオンラインで簡単にできる時代になっていますので、事業に必要なものと割り切って少しずつ勉強していきましょう。
また、消費税の課税事業者にあたる場合には、こちらも申告書が必要になります。
上記で説明した所得税や消費税は「国税」と呼ばれ、国(お近くの税務署)に納める義務があります。
個人事業税にいたっては「地方税」と呼ばれるものであり、お住まいの都道府県それぞれの税事務所と呼ばれる場所に納める義務があります。
つまり、「開業届を出すこと=税務当局への報告義務が生じる」ということです。
開業届を提出すると、「個人事業主の税金に関する案内」が届きます。
開業届は税務署に提出しますが、「個人事業税の事業開始等申告書」は都道府県税事務所に提出する必要があります。
確定申告とともに自動的に通知されるため、この申告書を出さない人も多いです。
各書類の提出の義務はありませんが、一般的に”出したほうが良いもの”ですので、覚えておきましょう。
また罰則や罰金がないとなると、出さない方がお得なのではないかと思われる方も少なくないと思います。
「出さないデメリット」よりも「出すメリット」が大きいので、独立の際は忘れずに提出してください。
◎何故、提出する必要があるのか?
実は先ほど紹介させていただいた通り、開業届を出しても、出さなくても罰則はありません。
しかし、提出することによるメリットがあります。
最大のメリットは”青色申告”にて確定申告できるようになることです。
確定申告の方法としては、白色申告と青色申告がありますが、青色申告の方が控除額が多いため、節税になります。
ただし、「青色申告承認申請書」を利用して確定申告できるのは、”開業届を提出している方のみ”となります。
事業内容によって大きく異なりますが、通信費やガソリン代、パソコン代等も経費として報告することができるようになります。
また、開業届を提出すれば、屋号で銀行口座を作ることもできます。
クライアントさまとの取引の中で、入金や振込を利用することもあると思いますが、そういった場合、自分の名前よりも屋号の方が安心して取引してもらえます。
自分の銀行口座を利用することもできますが、事業用の口座として分けて利用した方が事業にかかったお金というのが分かりやすくなります。
・開業届の入手方法は?
「個人事業の開業・廃業等届出書」は、国税庁のHPよりDLすることができます。
プリンターがない方は、ネットプリントなどを利用することをおすすめします。
最寄りの税務署でも入手することができますが、近くのコンビニエンスストア等でプリントできるので、わざわざ、税務署に出向くこともありません。
提出期限は開業後1ヶ月以内と定められていますので、なるべく早めに申告することをおすすめします。
令和3年の4月1日以降、印鑑は不要になったため、屋号の印鑑等を作成する必要はありません。
提出の際は書類の他、マイナンバーカードを持参しましょう。